エネルギー消費量の削減

エネルギー消費を削減して再生可能エネルギーに切り替えることには、地球環境の面での利点だけでなく、貴施設のオペレーションコストを下げるというメリットもあります。

Fixing bike

人口や経済が成長するにつれて、エネルギーの需要が増加しています。しかし残念ながら、エネルギーは依然として主に化石燃料などの再生不能な資源から供給されています。化石燃料は、炭素排出による地球温暖化と気候変動の主な原因となっており、さらにその影響は世界中で頻発する異常気象からも感じられます。毎月のように、さまざまな地域が洪水、暴風雨、山火事、過去最高気温などの破壊的な事象の影響を受けているのです。そしてこのような事象は人命や環境に多大な被害をもたらすだけでなく、ホテルやB&B、バケーションレンタルなどのホスピタリティ業界にも確実に影響を及ぼしています。 

ホスピタリティ業界では大量のエネルギーを使用しており、その結果、世界の炭素排出量の約1%を占めています。一般的な宿泊施設では、客室の床面積1平方メートルあたり160~200kgの二酸化炭素(CO2)を排出しています。エネルギー削減を図れる部分は数多くあり、例えば不要なロスや消費をカットすることですぐにでも成果が見込めます。しかし、よりサステナブルな業界を志すのであれば、長期的かつ世界的なソリューションに投資する必要もあります。

2050年までの炭素排出量ネットゼロという重要な目標を達成し、深刻な気温上昇を防ぐには、エネルギー消費量を削減し、再生可能エネルギーに移行することが不可欠です。世界中の宿泊施設セクターについて詳細に行われた調査では、この目標を達成するために私達が一業界として取り組むことのできる4つの鍵となるステップが明らかになっています。サステナブル・ホスピタリティ・アライアンスのウェブサイトには、宿泊施設のサステナビリティへの取り組みに関する包括的なガイダンスが掲載されています。さらに、バケーションレンタルのパートナー施設様は、EnviroRentalが提供する無料のサステナビリティ・ロードマップやその他のリソースを活用して、サステナビリティへの取り組みのスタートダッシュを切れます。

このセクションでは、エネルギー消費量の削減が貴施設のビジネスと環境に与えるメリットについてご説明します。また、エネルギー消費を減らし、貴施設のビジネスのサステナビリティを向上させるために実行できるさまざまな対策についてもご紹介します。

エネルギー削減がもたらす4つのメリット

1. コストを削減できます

エネルギー消費量を削減することで節約できる金額は膨大です。 ヨーロッパのホテルを対象とした調査によると、暖房は最大20%、冷房は最大30%、お湯は最大70%、照明は最大60%のエネルギーを削減できる余地があることが分かっています。これらはオペレーションコストの大幅な削減につながります。例えば、ホテルのポートフォリオ全体の環境パフォーマンスを管理するヒルトンのLightStayプラットフォームでは、エネルギー、炭素、水、廃棄物を削減することで、累積光熱費を10億ドル(USD)以上節約しました。これらの節約したコストは、エネルギー消費量を削減する取り組みにさらに投資することができます。

2. カーボンフットプリントを抑えられます

化石燃料によるエネルギーの消費量を削減すると、光熱費の削減だけでなく、炭素排出量の最小化にもつながり、環境フットプリントを低減できます。これをサポートするために、人感センサー、HVAC(暖房・換気・空調)モニタリング、LED照明への切り替えなど、利用しやすいさまざまなスマートテクノロジーがあります。例えば、Host Hotels & Resortsは、ビル自動化システムや発光ダイオード(LED)照明の取り付け、HVAC装置の強化、再生可能エネルギーへの投資など、さまざまな省エネ対策を通して1平方フィートあたり35%の温室効果ガス排出量削減を実現しました。

3. スマートエネルギー・システムは、ゲストと従業員の快適さアップにつながります

これらのスマートテクノロジーはエネルギー消費量の削減を実現するだけでなく、ゲストの快適さを向上させ、スタッフの作業を効率化することもできます。例えば、スマートモニタリング・テクノロジーは、使用されていない客室の電気機器をオフにし、空調装置を調節して不必要な使用を防ぐことができます。さらに、スマートビルディング・システムは、湿度や気圧に合わせて自動的に調節することでHVACを制御します。これらのシステムは、快適な室内環境を維持することによりゲストの快適さを向上させます。

4. 再生可能エネルギーを使うことで将来に備えられます

化石燃料は、地球温暖化の一因となっているエネルギー源であるだけでなく、紛争や政情不安など、世界規模のサプライチェーンの混乱による影響を大きく受けます。世界中の民間および公共機関がこの事実を認識しているため、風力や太陽光などの再生可能エネルギー資源への投資がますます増えています。再生可能エネルギーへの投資は、投資回収期間がより短く、世界各地で政府の支援制度が提供されているため、ますます費用対効果が高まっています。これにより、エネルギーコストを迅速に削減できるだけでなく、カーボンフットプリントを低減しながら、化石燃料市場の変動に対する回復力も得られます。

solar panels

エネルギーの消費量を減らすには

エネルギーの消費パターンを分析しましょう

エネルギー消費を管理するための最初のステップは、測定です。主なデータソースはエネルギーの請求明細となります。一方で子メーターを確認すると、エリア / 部門ごとのエネルギー使用量をより詳細に把握できます。エネルギー消費量の基準値を測定し、消費量の変化を記録することで、貴施設のエネルギー消費量に関する見識を深められます。また、エネルギーを節約できる部分を特定し、対策を行った場合に後日その有効性を見極めることもできます。ホテルを運営されている場合は、こちらでガイダンスを見つけることができます。バケーションレンタルの場合、EnviroRentalに登録すると、エネルギー、廃棄物、水に関する測定ガイドを利用することができます。 

ご利用のエネルギー供給会社に、貴施設のエネルギー消費量を測定・監視するためのシステムを提供しているかどうか問い合わせてみましょう。提供していない場合は、収集した貴施設のエネルギー消費パターンに関するデータを業界の基準値と比較し、貴施設のエネルギー効率を確認しましょう。ホテル炭素量測定イニシアチブ(HCMI)が無料で提供している方程式およびツールを使用することで、貴施設での滞在やイベントによって発生したカーボンフットプリントを計算できます。施設・設備や気象条件が異なる宿泊施設を比較するときは、これらの要因を考慮して測定値を調整しましょう。

再生可能エネルギーに切り替えましょう

2015年の国連パリ協定では、地球の気温上昇を産業革命前の水準と比べて1.5度に抑えることが優先事項として定められました。現状を鑑みると、この目標を達成できる見通しは立っていません。しかし多くの科学者は、それを達成できる可能性はまだあると信じています。例えば、再生可能エネルギーに切り替えると、オペレーションに伴う炭素排出量を大幅に削減できます。適切に実施されれば、地域で再生可能エネルギーの需要が高まり、地域の電力網における再生可能エネルギーの普及が促進されます。これは、世界のエネルギー需要を満たし、化石燃料の使用を段階的に廃止するうえで非常に重要です。

その一方で、自らのエネルギーがクリーンで再生可能であると偽っているエネルギー供給会社も、残念ながら数多く存在します。再生可能エネルギー源を選択する際は、本当の意味でのサステナビリティを実現し、化石燃料を使用しない世界に貢献できるよう、いくつかの点を念頭に置くことが重要です。

  • 温水用のソーラーパネルや電気用の太陽光発電パネルなど、貴施設内の再生可能エネルギー設備に投資することが最も良い選択肢です。これらの選択肢は化石燃料への依存を低減または解消し、再生可能エネルギーの生成に貢献する助けとなり、大きなプラスの効果をもたらします。余剰電力を地域の送電網に供給できる場合には、この点が特に顕著となります。
  • 敷地内での設置が不可能な場合は、再生可能エネルギー源への切り替えを検討しましょう。まずは現在ご利用の供給会社に確認し、再生可能エネルギーを提供していない場合は別の供給会社を探してみましょう。グリーン電力証書(REC)または再生可能エネルギー源保証書(REGO)を有しているだけでは、より再生可能エネルギーの供給量増加に貢献しない可能性がありますので、ご注意ください。
  • 再生可能エネルギーの供給会社について、独自に調査されたサステナビリティランキングを確認しましょう。これは、特定の企業からエネルギーを購入することによる環境への影響を理解し、その製品の全体的なサステナビリティを評価するのに役立ちます。

エネルギー効率の高い照明に切り替えましょう

宿泊施設で一般的に使用されている白熱灯やハロゲンライトは効率が非常に低く、光に変換されるのはエネルギーの20%のみで、残りは熱として失われます。

LEDなどのより効率の高い照明に切り替えると、エネルギー使用量を最大75%削減でき、通常の電球よりも最大25倍長持ちします。発熱量が少ないため、空調の使用量と全体的なエネルギー消費量を減らすことができます。また、リサイクルも簡単です。

ご注意:一部の電球には有害物質が含まれています。それらが最終的に埋め立て処分されないように、通常の廃棄物として処分するのではなく、リサイクルする必要があります。

Cleaning

稼働状況に紐づいた照明制御システムを導入しましょう

旅行中の人々は、家にいるときと異なる行動を取ることがよくあります。稼働状況に紐づいた照明制御システムを使用すると、照明は稼働している / 使用されているエリアでのみオンになります。稼働状況に紐づいた照明制御システムにはさまざまな種類があり、状況に応じて使い分けることができます。

  • 照明タイマー
    毎日特定の時間に照明が自動的にオン / オフになるよう、タイマーを使用しましょう。これはレストランや会議室など、毎日同じ時間帯に使用されるスペースで役立ちます。
  • 人感センサー
    人感センサーは、動きを検出すると照明をオンにし、一定時間内に動きがないと照明をオフにします。これは公共のトイレなど、使用頻度の比較的低いエリアで効果があり、部屋のエネルギー使用量を最大60%節約できます。また、人感センサーはバケーションレンタルでも役立ち、日々変化するゲストの使用状況のパターンに対応できます。
  • 昼光センサー
    昼光センサーは、十分な自然光がある場合はそれを検知し、照明を暗くしたり消したりして調節します。照らす場所の広さに応じて、さまざまなタイプを使用できます。

スマートな温度管理システムを導入しましょう

温度設定を少し変更するだけで、エネルギーを大幅に節約できます。冬に温度設定を1ºC下げるだけで暖房によるエネルギー消費量を10%削減でき、夏のエアコン使用に関しても同様の節約が期待できます。部屋に人がいないときに温度を調節するエネルギー管理温度計で人感および熱感知のテクノロジーを使用することで、この操作を自動化することができます。

建物の断熱性を向上させましょう

壁、窓、屋根を適切に断熱するなら、室内の温度を維持し、HVACシステムの負荷を軽減できるため、エネルギー使用量を大幅に削減できます。これにより、特に気温が極端な冬と夏の間のエネルギー消費量が減り、大幅なコスト削減につながります。

エネルギー効率の高い電化製品にアップグレードしましょう
初期費用はかかりますが、エネルギー効率の高い電化製品への投資は、長期的に見ると大幅な節約につながります。コストが高いソリューションに移行する前に、投資した資金をすぐに回収できる低コストなアップグレードから始めましょう。貴施設の次のエリアにおいて、電化製品のアップグレードを検討してください。

  • キッチン:冷蔵庫、冷凍庫、食器洗い機、コンロ、オーブン、排気フード
  • 客室:エアコンとテレビなどの電子機器
  • 受付:コンピューター、モニター、電話、デジタルディスプレイ
  • 建物の設備:ボイラー、ヒートポンプ、HVACシステム

タオルやリネンは60ºCで洗濯しましょう
タオルやリネンの洗濯は宿泊施設業界で日常的に行われる業務で、宿泊施設のエネルギー消費量に大きく影響する可能性があります。温度設定を上げるとコストが高くなります。タオルやリネンの洗濯に最適な温度は60ºCです。これにより、細菌やウイルスを除去し、汚れを落とすことができます。洗濯機の温度を下げることで、エネルギー使用量を抑えながら、質の高い洗濯を行うことができます。

サンシェード(日よけ)を設置しましょう
貴施設に直射日光がたくさん入る場合は、サンシェードを使用すると、費用を抑えながらエネルギー消費量を削減できます。サンシェードは、建物に入る太陽からの熱と光を受け止めてその量を調節するため、太陽の影響を抑えるためにエアコンや室内の日よけを使用する必要性を減らすことができます。

ユーザーに貴施設の取り組みをアピールしましょう

再生可能エネルギーへの移行やエネルギー消費量の削減を始めた場合、またはすでに何らかの取り組みを行っている場合、弊社プラットフォームを通じてユーザーにその取り組みを伝えましょう。そうするなら、増え続けている環境意識の高い旅行者にもっとアピールでき、予約を増やせる可能性があります。

エネルギーの節約や炭素排出量の削減のために、貴施設で以下の対策のいずれかを実施している場合はお知らせください。

自転車レンタルを提供
駐輪場を提供
電気自動車の充電スタンドを提供
部屋のカードキーまたは人感センサーによる電力制御を使用
宿泊施設のすべての窓に複層ガラスを使用
宿泊施設で提供する食べ物の80%以上に地域で生産されたものを使用
宿泊施設の照明の80%以上にエネルギー効率の高いLED電球を使用
宿泊施設全体で100%再生可能エネルギーを使用
宿泊施設の外壁と屋根に断熱材を使用
客室や共用エリアの窓に可動式または自動のサンシェードを設置
照明とファンを自動的に停止する「待機」モードを備えたエレベーターソフトウェアを使用
低速設定でエネルギー効率を高めることができる、可変速式のプール用熱ポンプを使用
蒸発や結露を抑えるプール用カバーを使用
タオルとリネンの洗濯温度を60ºCに設定
ハイドロフルオロカーボン(HFC)の代わりに炭化水素またはアンモニアやCO2などの自然冷媒を使用する冷却装置を設置
省エネ型の温度調節器を使用
客室、キッチン、洗濯室、受付、オフィスでエネルギー効率の高い電化製品を使用

知識をさらに深めたいなら

エネルギー管理に関する無料のオンラインコースで、サステナビリティへの取り組みの次の一歩を踏み出しましょう。世界観光機関と共同で開発されたこのコースには、より多くのサステナビリティに関連する取り組みをビジネスに取り入れるのに役立つ、専門家の知見と実用的なヒントが含まれています。 

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