エネルギー消費量の削減とグリーンエネルギーの使用

地球温暖化の加速とそれによる生態系と経済への影響から、エネルギーの資源と効率性はサステイナビリティにおける最優先課題となっています。しかし、エネルギー消費を削減して再生可能エネルギーに切り替えることには、地球環境の面での利点だけでなく貴施設のオペレーションコストを下げるというメリットもあります。

Updated 8 ヶ月 前
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人口や経済が成長するにつれて、エネルギーの需要も増加しています。残念ながら、そのエネルギーは依然として主に化石燃料などの再生不能な資源から供給されています。化石燃料は最終的には枯渇してしまうだけでなく、莫大な量の温室効果ガスを排出し、そのガスが大気中に熱を閉じ込めて地球の温暖化を加速させてしまいます。これによる気候パターンや生物多様性への悪影響はすでに確認されています。

当然のことながら、ホテル業界は著しい量のエネルギーを使用しており、室温調節と照明が2つの最大の要因となっています。その結果、温室効果ガスの排出に大きく加担しており、二酸化炭素の排出量は床面積1平方メートルあたり160~200kgであることが分かっています。そのため、皆様がよりサステイナブルな運営を目指すうえで、エネルギー消費を重要な課題として捉えることをお勧めします。

幸いなことに、エネルギー削減を図れる部分は数多くあります。ホテルのエネルギー消費の大部分は不要なロスや浪費によるものであるため、いくつかの点を改善することで、効率性を迅速に高めてコストを削減できます。

このセクションでは、エネルギー消費量の削減が貴施設のビジネスおよび環境の双方に与えるメリットについてご説明します。また、エネルギー消費を減らし、貴施設のビジネスのサステイナビリティを向上させるために実行できるさまざまな対策についてもご紹介します。

エネルギー削減がもたらす4つのメリット

 

1. コストを削減できます  

エネルギー消費量を削減することで節約できる金額は膨大です。ヨーロッパのホテルを分析した結果によると、暖房は最大20%、冷房は最大30%、お湯は最大70%、照明は最大60%のエネルギーを削減できる余地があることが分かっています。これは結果的にオペレーションコストの大幅な節約につながります。現場の一例として、ゴールト・ハウス・ホテル(Galt House Hotel)ではスマートエネルギー管理システムを設置したことで年間の電気代を39%削減することに成功し、オペレーションコストは10万ドル以上抑えられました。  

2. カーボン・フットプリントを抑えられます  

エネルギー消費量を減らすということは無駄を減らすことであり、これにより環境への負担を抑えることができます。現在化石燃料をエネルギー源としている場合、消費量を削減することで温室効果ガスの排出量も削減できます。例えばホスト・ホテルズ&リゾート(Host Hotels & Resorts)は、ビル自動化システムやLED照明の取り付け、暖房・換気・空調装置の強化、再生可能エネルギーへの投資など様々な省エネ対策を通して、 1平方フィートあたり35%の温室効果ガス排出量削減を実現しました。  

3. スマートエネルギーシステムは、ゲストと従業員の快適さアップにつながります  

エネルギー効率を改善するためのハイテクソリューションは数多くあり、そのほとんどは自動化を中心としています。これらのテクノロジーはエネルギー消費量の削減を実現するだけでなく、ゲストの快適さを向上させ、またスタッフの作業を効率化することもできます。例えば、部屋に誰もいないときに電気機器をオフにする自動の電源制御機能を導入することで、スタッフが電源を切る必要がなくなります。一方で、湿度や気圧に応じて自動調整を行うことで、暖房・換気・空調装置を制御するビル自動化システムなどもあります。これらのシステムは、快適な室内環境を維持することによりゲストの快適さを向上させます。

4. 再生可能エネルギーを使うことで将来に備えられます  

化石燃料は地球温暖化につながるエネルギー資源であるだけでなく、いつか枯渇する有限の資源でもあります。世界中の民間および公共機関がこの事実を認識しているため、風力や太陽光などの再生可能エネルギー資源への投資がますます増えています。パートナー施設の皆様も同様に化石燃料への依存度を減らし、再生可能エネルギー資源に切り替えることで、将来を見据えた施設運営を行うことができます。

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solar panels
エネルギーの消費量を減らすには

 

エネルギーの消費パターンを分析しましょう

エネルギー消費を管理するための最初のステップは、測定することです。主な情報源はエネルギー料金の明細となりますが、子メーターを確認すればエリア / 部門ごとのエネルギー使用量をより詳細に把握できます。エネルギー消費量の基準値を測定し、消費量の変化を記録することで、貴施設のエネルギー消費量に関する見識を深められます。また、エネルギーを節約できる部分を特定し、対策を行った場合には後日その有効性を見極めることもできます。

ご利用のエネルギー供給会社に、貴施設のエネルギー消費量を測定・監視するためのシステムを提供しているかどうか問い合わせてみましょう。提供していない場合は、収集した貴施設のエネルギー消費パターンに関するデータを業界の基準値と比較し、貴施設のエネルギー効率を確認しましょう。Hotel Carbon Measurement Initiative(HCMI)が無料で提供している方程式およびツールを使用することで、貴施設での滞在や集まりによって発生したカーボン・フットプリントを計算できます。設備やさらされている天候パターンが異なる宿泊施設との間でも正確な比較ができるよう、天候などの要因に合わせて測定値を調整しましょう。 

エネルギー効率の高い照明に切り替えましょう

ホテルで最も一般的に使用されている白熱灯やハロゲンライトはエネルギー効率が非常に低く、実際に光に変換されるのはエネルギーの20%のみで、残りの80%は熱として失われます。

コンパクト蛍光灯(CFL)や蛍光灯ランプ、LEDなど、よりエネルギー効率の高い照明に切り替えることで、エネルギー使用量を最大70%削減できます。エネルギー消費量の削減に加えて、コンパクト蛍光灯は発熱量が比較的少ないため、空調の必要性を軽減してエネルギー使用量をさらに減らせます。また、LEDは蛍光灯の最大3倍長持ちし、簡単にリサイクルできます*。

*一部の電球は水銀などの有害物質を含んでいます。一般ごみとして捨てると埋立地に行きつく可能性があるため、リサイクルすることが重要です。  

稼働状況に紐づいた照明制御システムを導入しましょう

ホテルではほとんどの人が自宅とは異なる行動を取ってしまい、その一例として電気を消し忘れることが挙げられます。稼働状況に紐づいた照明制御システムを使用すると、照明は稼働している / 使用されているエリアでのみオンになります。稼働状況に紐づいた照明制御システムは何種類かあり、状況に応じて使い分けることができます。

  • カードキー:カードキーシステムは、部屋に人がいないときに部屋の電力をオフにする機能です。ゲストが入室時に壁に取り付けられたデバイスにカードキーを挿入するだけで電気がオンになり、カードを抜いて部屋を出ると電気は自動的にオフになります。

カードキーシステムと電源制御システムに切り替えることで、室内の電力使用量を最大30%削減できます。ただし、客室数が200室にのぼる典型的なタイプのホテルでは毎年約1万2,000枚のカードキーを取り替える必要があるため、これらのシステムは相当な量の廃棄物を発生させてしまう可能性があります。プラスチック廃棄物を増やさないようにするには、環境に優しいカードキーの使用を検討しましょう。再生プラスチックや生分解性プラスチック、さらには紙で作られたカードなど、利用可能な選択肢はいくつもあります。  

  • 照明タイマー:毎日事前に設定された時間に照明がオン / オフになるようタイマーを設定できます。これらは、レストランや会議室など、毎日同じ時間帯に使用されるエリアで役に立ちます。  
  • 人感センサー:人感センサーは人の動きが検出されると照明がオンになり、予め設定された一定時間内に動きがないとオフになります。これらは、公共エリアのトイレなど人の活動の頻度が低いエリアで役立ち、部屋のエネルギー使用量を最大60%節約できます。  
  • 光電制御:光電スイッチは、十分な自然光がある場合はそれを検知し、それに応じて照明が暗くなったりオフになったりします。照明を当てたい空間のサイズに応じて、様々なタイプの中から適切なものを選びましょう

スマートな温度管理システムを導入しましょう

温度設定をわずか数度調整するだけで、大幅なエネルギー節約を実現できます。冬に温度を1ºC下げると暖房によるエネルギー消費量を10%削減でき、夏のエアコン使用に関しても同様の節約が期待できます。部屋に人がいないときに自動的に温度を調節するエネルギー管理温度計に、人感および熱感知のテクノロジーを統合することで、このプロセスを自動化することができます。  

再生可能なエネルギー資源を使いましょう

サステイナビリティのために実行できる最も効果的な行動の1つは、再生可能なエネルギー資源を使用することです。再生可能なエネルギー資源に切り替えることで施設運営による温室効果ガスの排出量が劇的に削減され、また最も重要な点として、適切に行うことで貴施設の地域における再生可能エネルギーの需要を増やすことができます。これにより、地域の送電網に新しい再生可能エネルギーを加える動きを促せます。現在の再生可能エネルギーの供給量は世界のエネルギー需要に追いついていないため、この点は非常に重要です。供給が需要に追いつくことで、最終的には化石燃料の使用を徐々に廃止することが可能となります。

残念ながら、実際はそうではないにもかかわらず、クリーンで再生可能なエネルギーを供給していると謳うエネルギー供給会社は数多く存在します。したがって、再生可能なエネルギー資源を選択する際には、真の意味でのサステイナビリティを実現し、化石燃料のない世界に貢献できるよう、以下のことに留意する必要があります。  

  • 可能な限り、敷地内に設置できる再生可能エネルギー源の設備を使用しましょう。新しく生成されたクリーンエネルギーを確実に得られるようにできるため、最も大きなプラスの効果があります。一般的な例としては太陽光パネルが挙げられます。  
  • 敷地内での設置が不可能な場合、最も良い代替案は、地元で生成されて消費者に直接販売されている再生可能エネルギーを使用することです。地元で作られた新しい再生可能エネルギーのプログラムを見つけるのがお勧めです。また、再生可能エネルギーに投資する場合、海外のグリーン電力証書(REC)または原産地証明(GO)は再生可能エネルギーの供給量増加に貢献しない可能性がありますので、ご注意ください。  
  • 100%再生可能なエネルギーを購入できない国や市場でも、再生可能エネルギーが利用可能になるよう精力的に取り組んでいる企業から購入することで、地域のエネルギー資源を再生可能なものにする運動に貢献できます。再生可能エネルギーの供給会社について独立して行われたサステイナビリティ・ランキングを確認することで、特定の企業のエネルギー資源を購入することによる影響と、そのプロダクトの全体的なサステイナビリティを把握できます。
ユーザーに貴施設の取り組みをアピールしましょう

再生可能エネルギーへの移行やエネルギー資源の消費量削減のために取り組みを開始した、または既にいくつかの取り組みを講じている場合は、弊社プラットフォームを介してユーザーにその旨を伝えましょう。

貴施設でエネルギー節約や温室効果ガス削減のために以下の対策を実行しているか、ご確認ください。

自転車レンタル
駐輪場の提供
電気自動車の充電スタンドの提供
部屋のカードキーまたは人感センサーによる電力制御の使用
宿泊施設のすべての窓に複層ガラスを使用
宿泊施設で提供する食べ物の80%以上に地域で生産されたものを使用
宿泊施設の照明の80%以上にエネルギー効率の高いLED電球を使用
宿泊施設全体で100%再生可能エネルギーを使用

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