サステナビリティと衛生・健康に関する取り組みのバランスを取るには

Innovation Lighthouse、Travel Without Plastic、Global Tourism Plastics Initiative(GTPI)との共同執筆

更新: 2 ヶ月 前
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パンデミックによりほとんどの旅行活動が止まったことで、観光の世界的な影響が浮き彫りになりました。車や飛行機の交通が減ったことによって空気が急激にきれいになっただけでなく、世界各地で現地の野生動物が本来の生息地へと戻り、長年にわたって観光客が集中していた都市などでは激しい混雑が解消される機会となりました。パンデミックが多大な困難をもたらし、中小企業や世界的な大企業を含めて旅行業界に甚大な被害を及ぼしたのも事実ですが、それと同時に地球環境が回復していったのも明らかです。

その結果、旅行を再び予約し始めている多くの旅行者にとって、環境の観点は優先順位が高くなっています。実際、回答者の61%が、パンデミックの影響で今後はよりサステナブルな旅行をしたいと思うようになったと答えています。一方で、サステナブルな旅行の選択肢がまだ少ないと考える回答者は49%、そして滞在している宿泊施設がサステナブルな取り組みを提供していない(リサイクル設備がないなど)と不満を感じると答えた回答者は53%にのぼりました。

パンデミックが旅行業界に与えたもう一つの大きな影響は、健康と衛生への関心の高まりです。これは今後も続くと考えられるため、清潔さを保つための活動が環境に与える影響を考慮することが重要となります。懸念すべき影響の例として、消毒のための化学物質の使用の増加、および手袋やマスク、手指消毒剤などの衛生製品の誤った廃棄方法などが挙げられます。

現在旅行の需要が回復し始めていますが、旅行者の意思決定を左右する優先事項が以前とは変わってきています。このような新しいトレンドに対応するには、サステナブルな旅行が重視される新たな状況の中で適切な立場を取りつつ、旅行者の衛生・安全に対する高い期待値に応えることが鍵となります。本セクションでは、そのバランスの取り方についてご案内します。

旅行需要が回復するなかでサステナビリティを優先することの4つのメリット

 

1. 中長期的にコストを削減できます

気候変動や環境悪化の現実が明らかになるにつれ、世界各地の政府は、使い捨てプラスチック製品などをより高額にする法律を制定しています。それと同時に、クリーンエネルギーの生産の方が再生不能なエネルギーの生産よりも費用対効果が高くなるという転換点を迎えました。さらに、サステナビリティを優先しないことで運営コストが高くなるだけでなく、顧客のロスにもつながります。実際、旅行者の81%は今後1年のうちにサステナブルな宿泊施設に滞在したいと回答しており、このトレンドは時間とともに増加しています

2. 責任ある宿泊施設であるというメッセージが強化されます

ゲストと宿泊施設の関係性は、今まで以上に重要となっています。宿泊施設は、ゲストの安全性や施設・設備の清潔さを保つことへの信頼を築く必要があります。ビジネスの優先事項にサステナビリティを組み込むことで、より幅広い範囲に配慮することができ、貴施設が責任ある信頼性の高いブランドであるというメッセージがより幅広く強化されます。

3. 新しい取り組みに挑戦する機会となります

多くの旅行者が、パンデミックによって自宅でも旅行先でもサステナビリティをより意識するようになったと回答しており、回答者の61%が今後はよりサステナブルな旅行をしたいと思うようになったと答えています。その結果として、ホスピタリティに関してよりクリエイティブなアプローチを取ることへのニーズやチャンスが増えています。宿泊施設を選ぶ際に旅行者が評価するサステナブルな取り組みとして、敷地内での食料の栽培やプール設備を温める際の太陽光発電の使用、シャワー水のリサイクルなどが挙げられます。

4. 今後の需要に対応するために貴施設のブランドを進化させることができます

旅行先でゴミや使い捨てプラスチック製品の使用を削減したいと応える旅行者は84%にのぼることから、シャンプーのミニボトルや使い捨てスリッパなどの無料アメニティは、いまや必ずしもおトクなものとして捉えられなくなっていると言えます。世界中の旅行者の83%がサステナブルな旅行が不可欠であると考えている状況の中で、強力なブランドイメージを構築するには、環境への影響に配慮することが非常に重要です。リサイクル設備や非プラスチック製品の提供、そしてゲストがタオルの再利用などサステナブルな行動を取りやすいような環境を整えることが、今後は高いクチコミスコアにつながっていくでしょう。

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旅行需要が回復するなかでサステナビリティを優先するには

 

製品ではなくプロセスに投資しましょう

私たちは衛生管理を保証するために、使い捨てのアメニティやリモコンのプラスチック包装、トイレ座席のリボン(清掃済みであることを示すため)などに頼る傾向があります。しかし実際には、プラスチックが消毒されていなければ細菌がつく可能性もあるため、これらの取り組みで清潔さが保証されるわけではありません。結果として、不必要な廃棄物を大量に排出してしまうこととなります。

衛生を優先するためのより効果的な方法としては、徹底した清掃プロセスや管理に投資することが挙げられます。使い捨てのアメニティを提供したり、プラスチックで包装する代わりに、客室やアメニティが各滞在の間で適切に清掃および消毒されていることを確認しましょう。また、徹底した清掃プロセスを標準化し、これらのプロセスについてスタッフに十分なトレーニングを提供しましょう。  

プラスチックの削減を戦略的な優先事項にしましょう

プラスチックの削減はよりサステナブルな運営を行ううえで重要ですが、これは使い捨てのマスクや手袋、手指消毒剤のボトル、使い捨てのアメニティ等が普及しているロックダウン後の時代には特に言えることです。貴施設でプラスチックの消費を減らすために行っていただけることは、以下をはじめとしてたくさんあります。

  • 何らかの理由により使い捨て製品を提供する必要がある場合は、現地のゴミ処理施設で回収可能な素材を選ぶようにしましょう。また、貴施設の敷地内でコンポスト処理ができる、「ホームコンポスト可能」と認定されている材料を代わりに採用するのも一つの手です。例えば、持ち帰り用にバガスの容器を使用したり、プラスチックやPLAの裏張りではなく水性の裏張りを使ったコーヒーカップを提供したり、草やパスタで作られたストローに変更することができます。使い捨てのプラスチック製品を使用するほかに選択肢がない場合は、リサイクル材料の配分が高い素材を選ぶようにしましょう。
  • 使用を避けられないプラスチックについては、適切な処分方法を検討し、貴施設の廃棄物管理にリサイクルを主要なプロセスとして組み込む方法を考えましょう。また、リサイクル用のごみ箱の場所について、ゲストに明確な案内を用意したり伝えるのも効果的です。
  • ご利用のゴミ回収業者に相談し、現地の施設で処理できる材料と最終的に埋め立て地に行きついてしまう材料についてそれぞれ確認しましょう。このような情報は、今後製品やサプライヤーに関する判断をする際の指標となります。  

衛生に関してゲストに知らせる方法をアップデートしましょう

ゲストに安心感を与えるためには、すべてをプラスチックで包装するよりも効果的かつサステナブルな方法がいくつもあります。宿泊施設で実施されている健康・安全関連の取り組みが明らかであれば予約する可能性が高くなると回答した旅行者は70%にものぼることから、滞在前や滞在中に安全に関するメッセージを伝えることは不可欠であると言えます。

  • 予約確認メールや貴施設のウェブサイト、Booking.comの宿泊施設ページを活用し、貴施設で行っている清潔・衛生面の取り組みを事前にゲストに知らせましょう。
  • 共用スペースを消毒している方法やタイミング、客室の清掃プロセス、アメニティを衛生的に保っている方法について、表示や施設内のテレビチャンネルなどを通して共有しましょう。
  • サステナビリティと衛生状態の強化のバランスを取るために対策を取っている場合、その旨もゲストに知らせましょう。これにより、例えば使い捨てペットボトルを持参するのではなく適切に消毒された再利用可能なアメニティを使用するなど、ゲストにもサステナブルな取り組みに参加する機会を提供できます。  

サプライチェーンを見直しましょう

新しい清掃プロセスを確立すると同時に、サステナビリティの観点からサプライヤーの見直しを行いましょう。プラスチックや一般廃棄物の削減、輸送のグリーン化、梱包材の回収などのトピックについて、サプライヤーと話し合う機会を設けることをお勧めします。社会全体のサステナビリティに向けたシフトは様々な業界にわたって起こっており、このような話し合いは貴施設とサプライヤーの双方に取ってメリットをもたらす可能性があります。

さらに、よりサステナブルな清掃ソリューションや、オゾン消毒、安定化したオゾン水、高圧蒸気洗浄など、より高い消毒効果がある新しいテクノロジーの使用を検討しましょう。これらは有害な化学物質の使用量が少ないだけでなく、費用対効果も高いことがわかっています。  

食事の安全性を確保する方法を検討しましょう

当然のことながら、食品は衛生上の懸念事項となります。従来の対応であればアメニティと同様、使い捨ての調味料の小袋やプラスチック製のカトラリーを使うのが典型的でしたが、次のように、廃棄物を減らしつつより高いコストパフォーマンスで食事の衛生面を確保する方法もあります。

  • 調味料は少量のポーションで、個別サイズのセラミックポットやお皿などに入れてリクエストに応じて提供しましょう。
  • ジャムやミルクなどには密閉された容器を使用し、ゲストが食品自体に触れることなく自身で利用できるようにしましょう。
  • 食器に関しても最高水準の衛生・清潔さを確保するために、客室のメンテナンスと同様、適切な洗浄プロセスを確立しましょう。
  • 同じ空間で食事をするゲスト同士の間に十分な距離を確保しましょう。1つの方法として、食事の提供時間を延長し、人数制限をしやすくすることが挙げられます。  

スタッフに積極的に協力してもらいましょう

新しいプロセスを導入したり改善を行う際は、スタッフに協力してもらうことが重要です。サステナブルな清掃プロセスを十分に理解してもらい、正しく実行してもらえるよう、適切なトレーニングに投資しましょう。ゲストの安全性を確保しつつ使い捨てプラスチックを減らすための優れたリソースの1つとして、Greener Guestが提供する無料のオンライントレーニングモジュールがあります。また、トレーニングを地域コミュニティでの清掃活動と組み合わせて実施するのもお勧めです。施設内で使用されているものと周辺地域の汚染物の関連性を目の当たりにすることで、より素早い変化を促進することが期待できます。

貴施設で行われた改善策についてスタッフの意見を聞くことも非常に価値があります。スタッフはそれぞれの役職や接触率の高い領域によって、貴施設やゲストについて独自の知識を持っているため、その異なる視点の知恵を持ち寄ることで、最も効果的にサステナブルな改革を行う方法を見極めることができます。

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ユーザーに貴施設の取り組みをアピールしましょう

貴施設で既にサステナビリティへの取り組みを実施している場合、弊社プラットフォームを通して旅行者に伝えることができます。また、貴施設の健康・安全に関する取り組みについても共有しましょう。

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