食品廃棄物を削減する方法

この記事は、KITROと共同で執筆されました

更新: 10 ヶ月 前
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毎年、人間が消費するために生産された全食品の約3分の1は失われたり、廃棄されています。イギリスを例に挙げると、毎年約13億食分、つまり提供される食事の6分の1が廃棄されています。包装やその他の非食品廃棄物を含めると、これはおよそ287万トンの廃棄物に相当します。2018年には、この処理に33億ポンドの費用を要しました。

食品廃棄物の影響は消費されなかった食事だけに留まらず、その食事を食卓に並べるために必要となった水やエネルギー、包装、輸送、労働力にまで及んでいます。さらには、廃棄処理のコストも発生します。廃棄された食品は、その他の多くのゴミと同様に埋立地に移され、地球温暖化の主な原因の温室効果ガスであるメタンを生成してしまいます。全世界の食品廃棄物による温室効果ガスの排出量を国に置き換えると、中国とアメリカに次ぐ世界第3位の温室効果ガス排出国となります。

この問題へのアプローチは、ご自身が運営している宿泊施設の種類や拠点を置く場所、サプライチェーンの構成をはじめ、その他の多くの要因によって異なるでしょう。本セクションでは、食品廃棄物を直ちに減らすために行える重要な取り組みについて触れるほか、それらが貴施設と環境の双方にもたらすメリットについてもご説明します。

食品廃棄物の削減による4つのメリット

 

1. 様々な部分のコストを削減できます

食品には、ゲストに提供する段階から処分する段階に至るまで様々なコストがかかります。業務用の厨房では通常、購入された食品の8~20%が廃棄されています。ここで役に立つのが食品廃棄物管理システムです。このシステムを実装することで、年間コストが25万ポンドかかっている厨房であれば最大8%の食品コスト(2万ポンド相当)を削減できます。一般的に、効率化されている厨房は無駄が多い厨房よりも必要なリソースが少ないため、厨房を効率化することでサプライチェーンの構成要素のうち、より起点に近いものからお金の節約を始めることが可能となります。

埋立地の使用率が上昇していくのにしたがって、廃棄物の処理コストも徐々に上がってきています。スイスでは、回避可能な食品廃棄物の処理によって外食産業は年間約10億スイスフランコストを抱えています。イングランドでは、メタンなどの排出物を生成する廃棄物である活性廃棄物に対する埋立税が過去10年間で継続的に引き上げられています(2018年には1トンあたり88.95ポンドでしたが、2020年には94.15ポンドとなりました)。この観点から、食品ならびにその他の廃棄物を体系的に削減することは、将来的に重要なコスト削減戦略と言えるでしょう。  

2. 環境フットプリントを低減できます  

大半の食品廃棄物は最終的に埋立地で腐敗するため、温室効果ガスの主な発生源となります。廃棄物の分解で放出されるメタンは二酸化炭素21倍の地球温暖化係数を有していることから、埋立地は気候変動の大きな要因となっているのです。地質が適していない国など、廃棄物を安全に埋め立てることができない国では、多くの場合廃棄物は焼却されています。廃棄物を燃やしてエネルギーを生み出すのは埋め立てるよりも害が少なく済みますが、それでもリサイクルを行うよりもサステイナビリティははるかに劣ります。回避できない廃棄物を適切に処理することで、廃棄物の焼却で生成されるエネルギーの最大5倍のエネルギーを節約できます。そして、廃棄物の全体量を削減することはこれに輪をかけて重要です。  

3. データに基づいた意思決定を行えます  

食品廃棄物を削減する前に、まずはその量を測定する必要があります。このプロセスで得たデータは、厨房やビジネスの効率とパフォーマンスを全体的に分析するのに活用できます。パフォーマンスを測定することで、サステイナビリティと財務目標に関する新しい重要業績評価指標を設定することが可能となります。加えて、収集したデータをマーケティングに使用すれば、サステイナビリティを高めるための貴施設の取り組みを具体的に示すこともできます。  

4. より強力なブランドイメージの構築に役立ちます

人々は旅行の計画を立てる際、サステイナビリティをより一層考慮するようになっています。弊社による2019年の「サステイナブル・トラベル」に関する調査では、世界中の旅行者の70%が、サステイナブルな滞在を求めているかどうかを問わず、宿泊施設が環境に配慮していることを知っていればその宿泊施設を予約する可能性は高まると回答しました。食品廃棄物を削減することは、環境意識が高まっている消費者の市場でのアピールの強化につながるでしょう。

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食品廃棄物を減らす方法

 

廃棄物の分別と測定を始めましょう

まずは廃棄物を一括りにすることを止め、さまざまな種類の廃棄物に目を向けることから始めましょう。これに着手するための最も簡単な方法は、食品廃棄物を「調理時の廃棄物」「腐敗した廃棄物」「ゲストが食べ残した廃棄物」の3種類のゴミ箱に分けて収集することです。必要に応じてさらに別の種類のゴミ箱を追加してください。数日もすれば貴施設の食品廃棄物がどこから生じているのか分かるようになり、的を絞った対策を練られるようになります。

サステイナビリティに関する取り組みが確立されていくにつれて、より洗練された食品分離および廃棄物測定のシステムの導入を検討することが重要になってくることでしょう。これらのシステムを用いることで、廃棄物の測定を非常に正確に行えるようになり、最初の1年以内に回避可能な食品廃棄物の最大60%カットを図ることができます。食品廃棄物に関するテクノロジーがより正確になっていくなか、廃棄物の削減によるコスト削減の重要度はさらに増していっています。

厨房内の廃棄物に対処しましょう

ホスピタリティ業界における食品廃棄物の大部分は食品の腐敗によるものであり、一部の国ではその割合がなんと20%に達しています。予想できるのはゲストが実際に消費する量ではなく、ゲストが必要とするであろう量であるため、この問題は避けようがなかったと言えるかもしれません。しかし、現在は新しいテクノロジーにより、腐敗してしまう食品の量を大きく削減することができます。例えば「アクティブ・パッケージング」などのナノテクノロジーを活用することで細菌の繁殖を遅らせることができ、鮮度を測定して賞味期限を伸ばすことができます。これらのテクノロジーには、抗菌ポリマーフィルムや熟成度指標、時間・温度センサーなどといったものが含まれています。ただし、これらの新しいテクノロジーは必須というわけではありません

  • 適切な光と温度の元で食品を保管するだけでも、食品が早くに腐敗してしまうことを防ぐことができます。バナナやアボカド、トマトなど、より多くのエチレンガスを生成する食品を分けておくことも大切です。エチレンガスは熟成を促進し、腐敗を早める可能性があるためです。
  • 新鮮とは言えなくなった食品については、柔軟な発想で加工しましょう。酢漬けや発酵、塩漬け、乾燥、缶詰めなどを行えば、厨房にある食品の寿命を延ばしつつ、新たな味わいを生み出すこともできます。  

回避できない廃棄物は適切に処分しましょう

  • リサイクル

多くの場合、ホテルの固形廃棄物は回収用とリサイクル用に分別することができます。廃棄物を原材料ごとに分けることで、各廃棄物を可能な限り最適な方法で処分することが可能となります。まず重要となるのが、貴施設で使用される包装材の総量を減らせるかどうかを検討することです。次に、食品の包装材とそれらをどのように処分するのが最善であるかについて考えてみましょう。包装材をリサイクルして再利用することで、サステイナビリティを飛躍的に高めることができます。

リサイクルできる量は、貴施設の所在国のリサイクルに関するインフラによって異なります。例えば、イギリスのストラトンズ・ホテル(Strattons Hotel)は廃棄物を7つのカテゴリーに分類し、リサイクルの割合を1年間で98%に伸ばしました。これにより、埋め立てられる廃棄物はわずか2%のみとなり、廃棄物に対する税金のカットを実現できました。国によっては、リサイクルによって少額の収益を得られる場合もあります。  

  • 堆肥化

堆肥化は、有機廃棄物を価値のある肥料に分解する、リサイクルの1つです。このプロセス自体が、廃棄物中の固形廃棄物の量を削減につながります。貴施設に庭がある場合、生成した肥料はお店で購入する肥料よりも健全で費用対効果の高い肥料として活用できるでしょう。  

従業員の意見を取り入れましょう

従業員は施設運営の様々な部分についてそれぞれ独自の知見を持っており、廃棄物削減のための考えを持っている可能性が高いため、彼らの関与は鍵となります。例えば、毎日朝食を提供しているウェイターからは、食品や食品廃棄物に関するゲストの行動について豊かな見識を得られるでしょう。キッチンスタッフと一緒にメニューを見返して、生鮮食材や食材の切れ端を複数の料理に活かしたり再利用したりする方法について考えてみましょう。  

ゲストに協力を仰ぎましょう  

  • ゲストに選択肢を与えましょう

ゲストが食べ残してしまう主な理由は量が多すぎるためであり、調査では41%もの回答者が量の多さを理由に挙げていました。実際にあった例として、ザ アルピナ ギシュタード(The Alpina Gstaad)はわずか8週間で食品廃棄物の29%カットに成功しました。同ホテルが実施した重要な変更点の1つは、パンとジャガイモ用のバスケットを小さくしたことでした。このように、大きな食器で食事を提供する代わりに、様々な分量やお代わり、サイドディッシュの選択肢を提供することを検討してみましょう。こうすることで、ゲストは自身が完食できる可能性が高い食事を注文できるようになります。セットメニューの構成を一部変更することが可能な場合(例:サラダをポテトフライにするなど)、注文前のゲストが気軽に頼めるようその旨を明確にしておきましょう。

持ち帰り用の箱を用意して、ゲストが食べ終えていない食事を持ち帰れるようにするのも方法の1つです(事前に貴施設が所在する地域の安全衛生規制を必ず確認してください)。手軽で選びやすい選択肢を提供することで、多くのゲストが食べ残しを持ち帰るようになるでしょう。  

  • レストラン以外の部分についても目を配りましょう

ミニバーも、エネルギーを大きく消費するだけではなく、食品廃棄物を発生させてしまう要素です。すべての客室にミニバーを設けるのではなく、各フロアに自動販売機を1、2台設置することを検討するのも良いでしょう。サステイナビリティの向上につながるだけでなく、自動販売機でユニークな商品を販売すれば、貴施設の個性を示す機会を得ることもできます。  

サプライチェーンにも着目しましょう

貴施設内の環境整備に着手したら、次は貴施設の食品がどこから来ているのかについても考えてみましょう。購入の過程を効率化してより経済的かつ費用対効果の高いプロセスにすることに加え、使用するサプライヤーと食品や製品をサステイナビリティの観点で評価するようにしましょう。サステイナブルな食品調達を行うことにより、カーボンフットプリント(商品やサービスの原材料の調達から生産、流通、廃棄、リサイクルまでのサイクル全体を通して排出される温室効果ガス排出量をCO2に換算したもの)を低減するだけでなく、多くの場合オペレーションコストの削減や料理の品質向上、地域社会との関係改善、ブランドイメージの向上も期待できます。

ユーザーに貴施設の取り組みをアピールしましょう

食品廃棄物を削減するための対策を始めた、またはいくつかの取り組みを既に講じている場合、弊社プラットフォームを介してユーザーにその旨を伝えましょう。

貴施設では、廃棄物を減らすための以下の取り組みを行っていますか?

ウォータークーラー / ディスペンサーを使用している
リサイクル用のごみ箱をゲストに提供し、廃棄物のリサイクルを行っている
教育や廃棄物の防止、削減、リサイクル、処分を含む、食品廃棄に関するポリシーを定めている

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