ウクライナ難民に対する人身取引の可能性の特定と対応について
ウクライナでの戦争から逃れた難民に関する危機的な状況が続く中、ヨーロッパ内のホテルや各種宿泊施設で人身取引が行われる危険性が高まっています。弊社の最優先事項は皆様とゲストの安全です。本記事では、人身取引の兆候と、貴施設で人身取引が行われている可能性があると疑わしい場合に取っていただける対応についてご案内します。
本記事の内容
人身取引と旅行業界について
人身取引とは何ですか?また、旅行・観光業界とはどのような関係がありますか?
国連によると、人身取引とは、利益のために搾取することを目的として、暴力、詐欺、欺もうによって人々を獲得、輸送、引き渡し、蔵匿、または収受することをいいます。
多くの場合、人身取引ネットワークはホテルや各種宿泊施設などの合法的なビジネスを利用して活動を行っています。例えば、人身取引業者は、被害者を移送する際の宿泊所として、または被害者に強要させたサービスを売る場所としてホテルを利用することがあります。
人身取引の被害者は宿泊施設の敷地内で搾取的な仕事に誘い込まれることもあるため、人身取引の被害者だけでなく、貴施設のビジネス自体や他のゲストに対しても安全上のリスクをもたらす可能性があります。
難民危機のためにリスクが高まっているのはなぜですか?
国連によると、780万人もの難民がウクライナからその他のヨーロッパ諸国に逃れました。そのほとんどは、標準的な難民保護にアクセスできず置き去りにされた人々と、人身取引のリスクが高まっていると考えられている女性や子供です。人身取引の兆候や最善の対処法について学ぶことで、貴施設での迅速な対応が可能となり、危険にさらされている人々に対する当局の支援が届くよう促せます。
人身取引の兆候の特定と対応について
人身取引の可能性を示す兆候にはどのようなものがありますか?
人身取引の防止に取り組んでいる組織は、ホテルや各種宿泊施設における人身取引の可能性を示す兆候を次のように特定しています:
- 暴言または身体的な虐待を受けている
- コミュニケーションが他者によって制限またはコントロールされている
- 移動の自由が制限されている、または移動が監視されている
- 自身のお金、携帯電話、または個人の身分証明書を管理できない
- 恐怖、不安、従順さが感じられる振る舞いを見せる
- 気候に全くふさわしくない服装をしている
- 自身の現在や過去の居場所についての知識がない
- 不衛生、栄養失調、または疲労の兆候がある
- 新しいタオルやその他のリネンを異例の頻度で要求する
人身取引の可能性を示すその他の兆候には、次のようなものがあります:
- 人々が通常よりもはるかに頻繁に客室に出入りしている
- 1つの氏名で複数の客室が予約されている
- 複数の女性と一緒にゲスト1名またはカップルがチェックインしている
- 子供が、親類には見えない1名以上の大人と旅行をしている
上記に挙げたもののうち、1つまたは2つの兆候だけでは必ずしも人身取引が行われているとは限りません。例えば、正規のグループ旅行が複数の客室を1つの氏名で予約している場合もあります。しかし、上記の兆候が多数認められる場合は、懸念する必要があるかもしれません。
自身の施設で人身取引が行われている疑いがある場合は、どうすればよいですか?
貴施設で人身取引が行われている疑いがある場合は、所在国の人身取引対策ホットラインに連絡してください。誰かが差し迫った危険にさらされている場合は、所在国の通常の緊急電話番号に通報してください。また、その他の支援組織に連絡したり、危険にさらされている方々ご自身で支援組織と連絡を取るよう促した方が良い場合もあります。
当該の状況が弊社のプラットフォーム上で行われた予約に関連する場合、弊社ではお電話による問い合せも受け付けております。
弊社における人権の尊重と促進に対する取り組みの一環として、また弊社の理念に従い、弊社はいかなる形態の現代の奴隷制、強制労働、児童労働、人身取引に反対します。弊社は、パートナー施設の皆様が貴施設で行われている疑いのある人身取引を特定および通報するためのサポートに尽力いたします。
その他にできることはありますか?
北アメリカの人身取引への対抗に取り組む非営利団体のポラリスプロジェクトは、以下のことを推奨しています:
- 国際移住機関(IOM)のホットラインの連絡先情報を所在地の言語およびウクライナ語、ロシア語で貴施設にて掲示すること
- 可能な限り従業員を直接雇用するポリシーを作成すること
- 責任を持って商品を調達しているサプライヤーやベンダーと提携すること
- 貴施設で反人身取引ポリシーを採用すること
- 人身取引の兆候を特定するための従業員研修を行うこと
- 安全な報告プロセスを含む人身取引への対応手続きを定めること
本件に関する詳細およびリソース
人身取引に関する一般的なリソース
移住問題を扱う国連機関である国際移住機関(IOM)が運営するホットラインは、不法移民、人身取引および合法的な移住の選択肢に関する情報を無料で提供しています。
ヨーロッパにおける人身取引に焦点を当てている非政府組織ネットワークのラ・ストラーダ・インターナショナルの加盟組織のほとんどがホットラインを運営し、現地の情報を提供しています。この情報には、法的な考慮事項、役立つ電話番号、安全に関するアドバイス、緊急時のヘルプなどが含まれます。
ウクライナのリソース
- IOM全国人身取引対策ホットライン –電話:527(ウクライナの携帯電話からの通話料無料)または0800 505 501(ウクライナの固定電話からの通話無料)、ウェブサイトのオンラインチャット、メール:iomkievcomm@iom.int
ポーランドのリソース
- 女性と子供への支援を提供するPoMOC協会(Stowarzyszenie PoMOC dla Kobiet i Dzieci im.Marii Niepokalanej) – 電話:+48 32 255 38 69、ウェブサイト、メール:biuro@po-moc.pl
- National Consulting and Intervention Centre for Victims of Trafficking – 電話:+48 22 628 01 20、ウェブサイト
モルドバのリソース
- 外務・欧州統合省 – 電話:080 090 990(モルドバ国内から)または+373 22 690 990(モルドバ国外から)
- Centre for Combating Trafficking in Persons – 電話:+373 22 254 998
- 労働・社会保護・家族省全国調整局(National Coordination Unit of the Ministry of Labour, Social Protection and Family) – 電話:+373 22 727 274
スロバキアのリソース
- 人身取引被害者のための全国ホットライン – 電話:0800 800 818(スロバキア国内から)または+421 800 800 818(スロバキア国外から)
ルーマニアのリソース
- 国立反人身取引機構(Agenția Națională Împotriva Traficului de Persoane) – 電話:0800 800 678(ルーマニア国内から、無料)または+40 756 514 940(ルーマニア国外から)、メール:anitp@mai.gov.ro、ウェブサイト
- Code for Romania War Task Force – ウェブサイト
ハンガリーのリソース
- Salvation Army Hungary(Üdvhadsereg) – 電話:+36 1 332 3324、メール:kozponti@udvhadsereg.hu、ウェブサイト
- Anonymous Ways Foundation(Névtelen Utak Alapitvány) – 電話:+36 706 649 497、メール:anonymousways.ngo@gmail.com、ウェブサイト
-
法律&セキュリティ関連
-
- アカウント認証フォーム(Know Your Partner)を記入しなければならない理由について
- Pulseをより安全に使うには
- オンライン・セキュリティとソーシャル・エンジニアリングについて
- オンラインセキュリティに対する注意喚起:フィッシングについて
- アカウントの不正利用を防ぐために
- アカウントのセキュリティ確保について
- 監視装置に関する要件と規制について
- デジタルイベントのセキュリティ基準
- 客室の鍵へのアクセスに関するガイドライン
- 宿泊施設を安全で清潔に保つために
- 【バケーションレンタルタイプの宿泊施設様対象】安全装置や救急用品の設置、および避難計画の策定について
- 【バケーションレンタルタイプの宿泊施設様対象】貴施設を守るためのセキュリティ機器について
- パートナー賠償責任保険
- ウクライナ難民に対する人身取引の可能性の特定と対応について
- セキュリティに関する問題を報告する
- オンラインセキュリティに対する注意喚起:マルウェアについて
-
- 各地域における法的規制
- 掲載を中止したり、Booking.comとの契約を解約するには、どうすれば良いですか?
- 宿泊施設の所有者が変わる場合には、どうすれば良いですか?
- 弊社の動物福祉基準について
- 【アクティビティ / ツアー提供会社様向け】Booking.comの動物福祉基準
- 一般取引条件(GDT)はどこで確認できますか?
- 欧州連合(EU)消費者関連法への準拠について
- オーナータイプ(プロフェッショナル / プライベート)の自己申告(必須)について
- 等価性(パリティ)はどのような仕組みになっていますか?
- 弊社の理念およびガイドライン
- よりシンプルなポリシーで透明性と明瞭さを提供
- サプライヤー行動規範
- [JA] Meeting legal requirements for tourist accommodation in French Polynesia
- 不可抗力事象について
- 緊急事態による一時閉鎖に伴う対応について
- 短期貸出について
- 短期貸出:よくある質問
- 全国旅行支援キャンペーン:よくある質問