Train Travel Sustainable

サステナブルな旅行 — 課題とチャンス

 | 保存
Click. 2023イベントのセッション「信頼できるサステナブルな旅行業界の構築に向けて」では、旅行分野でサステナビリティが直面する課題とチャンス、そしてそれがパートナー施設の皆様に意味することについて議論されました。同セッションからの各種知見をチェックしましょう。

サステナブルな旅行に関する弊社の最新調査によると、今後12ヶ月間でよりサステナブルな旅行をしたいと考えている旅行者は76%にのぼり、2021年と比べて15%増加しています。しかしながら、旅行者の半数以上は、サステナブルな旅行の選択肢が十分ではないと考えています。では、旅行者が求めるものを提供し、旅行者が簡単に選択できる状況にするためには、私たちには何ができるでしょうか。これこそ、Click. 2023イベントのセッション「信頼できるサステナブルな旅行業界の構築に向けて」において登壇者が議論したトピックのひとつです。

サステナブルな旅行が直面する課題 — 旅行者およびパートナー施設様の場合

旅行者の場合 

よりサステナブルに旅行したいという旅行者の意欲はますます高まっていますが、旅行者が直面する壁は依然として高く、実際には変化が見られません。主な課題として、次の3つが挙げられます。

1. 適切な「サステナブルな旅行」の選択肢を見つけることができない

この原因は、自分が何を求めているのか旅行者自身が正確に分かっていない、あるいは自分が希望するものは手に入らないと思っていることに起因するかもしれません。たとえば、高級ホテルだけがサステナビリティを重視していると思い込んでいる人もいれば、選択した旅先でよりサステナブルな選択肢を見つけられない人もいます。貴施設がおこなっているサステナビリティの取り組みを透明性のある形で強調することは、旅行者にとって、このような検索をはるかに簡単にすることに役立つでしょう。 

2. サステナビリティにはさらに費用がかかるという認識がある

私たちが耳にする2つ目のこととして、よりサステナブルな宿泊施設や交通手段を選択すると費用が高くなるという認識があることです。特にこのような経済状況の中ではなおさらそのような認識が強く、これに対処することが極めて重要となります。 

3. 信頼性と一貫性

また、よりサステナブルな選択肢を探している旅行者は、「サステナブル」として分類されている宿泊施設が実際にサステナビリティのベストプラクティスに従っていることを確かめたいと考えています。このような旅行者は、自分の選択に確信を持ちたいと思っています。そのため、宿泊施設様としては、自施設のメッセージがすべて最新のものであり、プラットフォーム間で一貫していることを確認する必要があるでしょう。

パートナー施設様の場合

同時に、パートナー施設様にとっても克服すべき壁が存在します。

1. よりサステナブルな宿泊施設になるには、多大な費用がかかるという認識がある

特に最近の厳しい経済状況を考えると、自施設のサステナビリティを高めるために多額の投資をしたとしても、そのメリットがビジネスにとってどの程度になるか確信が持てない場合、そのような投資には消極的になるかもしれません。しかしながら、LED照明への交換や省エネスイッチ / 省エネセンサーの導入など、いくつかのサステナビリティに関する取り組みの中には長期的には費用対効果が高いと考えられるものがあります。  

2. サステナビリティを高めるための取り組みを旅行者にアピールする手段

さらに重要なのは、サステナビリティを高める取り組みをこれまでおこなってきたとしても、それを分かりやすくアピールして、旅行者の意思決定プロセスをサポートし、自施設が信頼できることを証明できるよう、旅行者に対してどのように訴求するかという課題があります。弊社の最近の調査から明らかになったのは、弊社のパートナー施設様の大多数は何らかの取り組みをおこなっていらっしゃるものの、それをユーザーに伝えるシンプルな手段を持っていないということでした。

Sustainable Travel Click 2023


長期にわたる体系的な変化を生み出すチャンス 

コンシャス・ホテルズ・グループの最高経営責任者(CEO)であるMarco Lemmers氏は、同氏が手掛けたライフサイクル評価調査の知見を披露し、日々の小さな変化が、より大きな影響を生み出すことに繋がると話しています。「実は、建物を断熱することよりも、家具・什器・備品(FF&E)と日常業務に投資することのほうが、環境への影響がより大きいということがわかりました。」

同氏はまた、実際にどんなメリットがあるかを皆が把握できるよう、ささやかでシンプルな約束事をいくつか取り入れることを提案しています。たとえば、地球に優しくなるために肉を使わないという選択は、「グループとして、あるいはホテルチェーンとして共有できる実に分かりやすい目標です。また、お越しになるお客様にも明確なメッセージを発信できます。」

ポルトガル観光局の元プレジデントであるLuís Araújo氏は、旅行業界全般について、「サステナビリティは、競争上の優位性を付加するものではなく、ビジネスをおこなううえでの唯一の道筋である」と述べています。 同氏は、規制が体系的な変化を生み出す好機になると示唆し、ポルトガルでは、サステナビリティに関する一定の基準を満たさない限り、もはや5つ星ホテルになることはできないと説明しています。Araújo氏は次のように話します。「私たちは、バリューチェーン全体を変えることに全力を注いでいます。サステナビリティは、ホテルや消費者だけの問題ではありません。すべてを変革させなければならないのです。また、供給側について言えば、スタッフ、トレーニング、資格に焦点を当てることが、サステナビリティにとって非常に重要です。」

弊社の「トラベル・サステナブル」プログラムがどう貢献するか

弊社の「トラベル・サステナブル」プログラムは、サステナブルな取り組みをおこなっているパートナー施設様を称えるものです。このプログラムが2021年11月に始まって以来、サステナビリティに関する取り組みを弊社にご報告いただいた宿泊施設様は130万軒以上にのぼり、59万軒以上の宿泊施設様に「トラベル・サステナブル」のラベルが付与されています。 

本プログラムにより、サステナビリティへの道のりを歩み始めたばかりでも、完全に認証を取得している場合でも、貴施設がサステナビリティを高めるためにおこなっている取り組みを貴施設ページで示すことができます。 

この「トラベル・サステナブル」プログラムは最近、世界持続可能観光協議会(GSTC)の独立した保証パネルによって、本プログラムを管理するシステムがサステナブル・ツーリズムに関するGSTC基準を満たしていると判断されたことを受け、GSTCから正式に承認されています。したがって、「トラベル・サステナブル」プログラムに参加いただくことで、高い信頼性を持つこの認証制度のメリットを自動的に受けることができ、旅行者はよりサステナブルな選択を一層容易におこなえるようになるのです。

 

Building a credibly sustainable travel industry
旅行におけるサステナビリティについて詳しくチェックしましょう

Click. 2023のセッション「信頼できるサステナブルな旅行業界の構築に向けて」をご視聴いただけます。

今すぐ見る

このページを評価してください

まとめ
  • 旅行者は、よりサステナブルに旅行したいという気持ちをますます持つようになってきていますが、選択肢を見つけるのに苦労しています
  • サステナビリティに関して信頼性が高く透明性のある訴求を図ることは、このような意識の高い旅行者の心をつかむのに役立ちます
  • パートナー施設様と旅行者の双方において、「サステナブル」は「高価」であるという誤解が一般的に見られますが、実はそうではありません。サステナビリティを高める取り組みの中には、皆さんが考えるよりも貴施設やゲストにとって費用を抑えてくれるものがあります