世界は変化を遂げました。旅行は再び行われているものの、パンデミックは私たちの旅行の様式や価値観を大きく変えました。不穏な時期もありましたが、弊社の2023年の旅行トレンド予想によれば、今年は人々が旅行をすると心に決めていることがわかっています。
世界中の旅行者の68%は休暇への投資を最優先事項であると回答しており、73%が今年の旅行について2022年よりも前向きに捉えています。しかし、世界のさまざまな地域では旅行者にどのような動向があるのでしょうか？中国が再び開かれることで、旅行およびホスピタリティ業界にどのようなインパクトがあるのでしょうか？そして、パートナー施設様はどのような対策を講じるべきなのでしょうか？
最近開催されたClick. 2023では、最新のニュースや知見を共有すべく、Booking.comのリーダー陣はもちろん、パートナー様や業界のエキスパートの方々が集いました。メインステージのセッション「今日の旅行者について」では、Booking.comの地域担当リーダー陣より自身が特定した旅行者の最新動向に関する情報が共有されました。そこで、繁忙期を迎えるにあたって注目すべきポイントを以下にまとめましたので、ぜひご覧ください。
1. 海外からの予約のシェアの拡大
EMEA地域バイスプレジデント兼マネージングディレクター、Carlo Olejniczakは、いくつかの新しいトレンドを挙げました。弊社では、2023年の最初の数ヶ月に海外旅行が増加傾向にあることを察知しており、この傾向が今年さらに継続する可能性を示す確かな兆候があります。
「弊社では、ドルが非常に強い現状を理由に、アメリカ人によるヨーロッパ旅行が増加することを予想しています。また、過去2～3年にわたりほぼ不可能であったことから、欧米人によるアジア太平洋地域への旅行が伸びることも期待しています。」
南北アメリカ バイスプレジデント兼マネージングディレクター、Robert Ahearnは、ターゲティングの観点から、パートナー施設様はどの国・地域からゲストが訪れているのかを考えるべきだとアドバイスしており、「自身の位置づけをするにあたり、どの国・地域からのゲストが多いのかを考えることは非常に良い機会となります。」と述べています。
アドバイス：国・地域別の料金を使用し、特定の地域からの旅行者をターゲットにして予約数を増やしましょう。
2. 夏に向けた予約のタイミングの大幅な早期化
2つ目のトレンドとして挙げられるのは、リードタイムの長期化です。Olejniczakはこれを驚くべきことだと発言しており、現在の春と夏の予約を見ると、不確実な現状にもかかわらず、以前に比べずっと早く予約が行われていると述べています。
早期の予約を確保するにはポリシーの柔軟性の高さが鍵となります。実際、2022年にBooking.comで確定した予約の80%が、柔軟性が高いポリシーのプランに対して行われました。これは2023年になっても依然として主要なトレンドとして続いており、Olejniczakは「旅行者は柔軟性、すなわち利用のしやすさを求めています。」と語っています。
アドバイス：早期割引の料金プランの設定と、フレキシブルな料金プランの追加を検討しましょう。
3. 中国人旅行者の再興
国連世界観光機関によれば、中国人旅行者は2019年に中国本土以外の海外の旅行に2,550億米ドルを費やしており、これは、1億6,600万回の旅行に相当します。旅行業界は長らく彼らの再来を待ち続けてきており、Housdsworthは「これは、世界中で膨大な数の旅行者を確保できていなかったということです。特にアメリカでは中国人旅行者を取り込むことができておらず、世界の他の地域でも同じような状況です。」と述べています。
中国が再び開かれることを受け、弊社では中国人旅行者が戻ってくると予想しています。当サイトにおける最近の検索データによると、この層の旅行先としては、タイ、フランス、アメリカ、日本、スペイン、ドイツ、イタリア、イギリス、香港、オーストラリアがトップ10となっています。新型コロナウイルス感染症（COVID-19）は、これらの国の多くでは遠い昔の記憶のように思えるかもしれませんが、安全かつ清潔で快適な滞在を実現するために行っている取り組みをアピールすることが鍵となります。
アドバイス：健康・安全に関する取り組みをアピールして、ゲストに安心感を与えましょう。
弊社のパートナー様の取り組み
Click. 2023では、弊社よりパートナーの皆様に、繁忙期に向けてどのような準備をされているかを伺いました。概要は以下の通りです。
- ポルトガルのLuna Hotels & Resortsのバイスプレジデント、Ana Plettenberg氏によれば、同チェーンでは夏の旅行者に備えてビーチホテルの改修に取り組んでおり、「この繁忙期は大変好調なものになると確信しています。」とお話しされました。
- ViatorのEMEA地域マネージャー、Tyler Jacobs氏によれば、 同社では前もって行われる予約と直前予約の両方に対応できるよう準備を進めており、「私たちは弊社のオペレーターと緊密に連携して、空室状況の確保、すなわちお客様のための在庫が当サイトに確保されているようにしています。」と仰っています。
- ドバイのJumeirahグループの収益管理＆ディストリビューション部門シニア・バイスプレジデント、Paolo Federico氏は、繁忙期に関してはディストリビューション側と在庫管理側の双方でより積極的になることを心がけていると仰いました。また、弊社の旅行トレンド予想に関しても同様の見解を示し、「中国は戻ってきます。夏の終わりまでには、アジア市場は世界各地で本当に大きく成長していると思います。」とも語っています。
- 旅行者の68%が休暇への投資を最優先事項であると回答し、73%は昨年よりも旅行についてより前向きであることから、2023年は多くの人が旅行をすることを心に決めていることが伺えます。
- 海外からの予約のシェアが拡大する中、特定の地域からの旅行者をターゲットにすることで、パートナー施設様は予約数を増やせる可能性があります。
- 現在の不確実な状況にもかかわらず、以前に比べ、夏の予約は格段に早い時期に行われています。2022年の予約の80%が柔軟性の高いポリシーのプランを対象に行われており、同様のトレンドは2023年も継続していることから、旅行者にさらなる安心感を与えることが重要となっています。
- 2023年は中国人旅行者が戻ってくると予想される年であり、宿泊施設にとっては、この層へ健康・安全に関する取り組みをアピールすることが極めて重要です。
- 弊社のパートナー様も、繁忙期に向けて行っている準備について情報を共有してくださいました。
