業界の展望

回復途中の業界における販路の見直しについて

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Amadeusのホスピタリティ部門でデータ・パートナーシップのバイスプレジデントを務めるKatie Moro氏が、パンデミックが宿泊施設の販路にどう影響を与えたか、また今後どんなデータに着目すべきなどかについてを共有します。

現在の状況下において、旅行業界はコンスタントな予約行動の変化に直面しています。これまでより短くなったリードタイム(予約日から宿泊日までの日数)や、より多くの価値を求めるゲストなど、現在の傾向に対し宿泊施設ができることは何でしょう?今回は、世界各地の宿泊施設の販路に影響を与えている事柄や、現在の需要を取り込むための戦略の立て直し方などを、Amadeusのホスピタリティ部門でデータ・パートナーシップのバイスプレジデントを務めるKatie Moro氏にお伺いしました。 

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Katie Moro
Amadeusのホスピタリティ部門でデータ・パートナーシップのバイスプレジデントを務めるKatie Moro氏

Click.:業界が回復途中の今、宿泊施設が販売チャネルを検討する際に気をつけるべきことはありますか?

Moro氏:あらゆるタッチポイント(消費者との接点)で予約の獲得に繋がる機会があるため、様々なチャネルで宿を販売することが重要です。2019年に利用していたチャネルと同一のものである必要はないので、より多くの旅行者にリーチするために活用できるチャネルを探してみましょう。例えばOTA(オンライン旅行会社)は旅行者を呼び込むには良い位置にあるため、個人経営の宿泊施設がブランド認知度を上げるには最適と言えます。宿泊施設に直接予約を入れる場合でも、その前にまずは複数のOTAで選択肢を確認する人も多いです。 

宿泊施設提供者の方は、安定して高いパフォーマンスを維持し、現在の傾向に対応しているチャネル提供会社との関係性の構築・拡大に注力していくと良いでしょう。Booking.comなどは、パートナー施設が活用できるよう様々なキャンセルポリシーを提供しています。キャンセルにまつわる柔軟性が今非常に重要であることは明白なので、予約の成立につながる可能性の低い、厳しいキャンセルポリシーが設けられているサイトでの掲載は避けたいところです。重要なのは、業界が設定する基準をベースに旅行者が期待しているものに沿ったサービスを提供しているサイトと提携することです。 

Click.:各販売チャネルではどのような傾向が見られますか? 

Moro氏:Demand360®のビジネスインテリジェンスデータによると、2020年夏以降にもっとも突出している販売チャネルは宿泊施設への直接予約で、これは今までで初めてのことです。直接予約の数は以前はそこまで多くありませんでしたが、ここにきて大幅に増えてきており、これは恐らく、旅行者が予約前にその宿泊施設の情報を可能な限り収集しようとするところからきているのでしょう。直接予約の次に続くのが、OTAまたは宿泊施設の公式サイトを介した予約です。弊社のデータによると、現在もっともパフォーマンスが高いのは以上の3つのチャネルとなります。 

リードタイムにも大きな変化がありました。平常時は平均すると7~14日でしたが、現在は60%の予約が宿泊日の0~7日前に行われており、0~3日、つまり直前予約はその中でも特に割合が高くなっています。OTAはリードタイムが0~3日の直前予約への訴求を得意としているため、あらゆるタッチポイントにおいて、宿泊施設がその期間に予約可能であることが重要となります。宿泊施設の市場におけるリードタイムを理解し、そのリードタイムに予約を受け付けること、また適切な料金を設定することが非常に重要なのです。最近見られた一番大きな変化はこういったところで、宿泊施設提供者も事業の見直しを行う必要があるでしょう。

Click.:宿泊施設提供者がこの変化の波にうまく乗り、順応していくにはどうしたらいいでしょうか? 

Moro氏:昨年、アメリカでは平均客室単価(ADR)が20%以上ダウンしました。ここから今後回復するのは難しいことです。その中で宿泊施設が収益を最大化するためにできることの主軸は、需要が促進されることを期待して料金を下げる、ということをしないことです。ただし競争力の高さは維持していく必要があるため、市場全体で料金が下げられ、それに対する需要が生まれた場合には、多くの場合それに合わせて料金を下げる必要が出てきます。 

市場での傾向をチェックすることは重要ですが、現状と関連性がなくなった過去のデータに頼ることはできません。状況は刻々と変化しているため、過去のデータは今後の予測には役立たないからです。情報に基づいた判断をするためには、最近のデータや今後の見通しに関するデータを参照することが重要です。

最後に、消費者は今、かつてないほどに多くの情報を求めています。販売チャネルには、宿泊施設の最新かつ関連性の高い情報が掲載されていることを確認しましょう。各販売チャネルを通して消費者とのコミュニケーションを図り、時事的な事項に関する重要な情報(柔軟性や清潔さなど)を強調して伝えましょう。宿泊施設のウェブサイトに限らず、販売チャネルのすべてにおいて、情報の透明性が非常に重要です。 

Click.:今後に目を向けたとき、新型コロナウイルス収束後も同じ傾向は続くと思いますか?

Moro氏: 新型コロナウイルスはまだ収束しておらず、状況は流動的で不確実なままです。弊社では今後も状況を注意深く確認し、業界が直面する問題の解決に向けてお客様と協力を続けていきます。弊社の組織としての目標は、宿泊施設提供者がマーケットデータを参照できるよう改善し、旅行者の予約傾向の変化を把握できるようにすることです。そのためには、情報に基づいた判断ができるよう、宿泊施設提供者が最新かつ有効なデータを活用できるツールを使用することも重要となります。

 

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まとめ
  • 旅行者が今期待しているものに沿ったサービスを提供しているサイトと提携しましょう。たとえば、キャンセルに関する柔軟性は現在非常に重要であるため、様々なキャンセルポリシーを提供できると良いでしょう。
  • リードタイムには大きな変化があり、多くの直前予約は宿泊日の0~7日前に行われています。
  • 状況は刻々と変化しているため、今後の予測を行ううえで過去のデータは参考になりません。意思決定を行う際には、最近のデータや今後の見通しに関するデータを参照しましょう。
  • 消費者は今、かつてないほどに多くの情報を求めています。宿泊施設のウェブサイトに限らず、販売チャネルのすべてにおいて、情報の透明性が非常に重要となります。