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サステナビリティへの道のり:環境への影響を減らしたアパートメント運営

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Linda Close氏は、オーストラリアのウォーナンブールにある「Botanic Apartments(ボタニック アパートメンツ)」のオーナーです。本記事では、サステナビリティへの取り組みを具体化することでビジネスにどのようなメリットがあったのか同氏に伺いました。
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The Botanic Apartments, Warrnambool - Owner

昨年、私たちは宿泊施設を「Botanic Apartments(ボタニック アパートメンツ)」としてリニューアルいたしました。「ボタニック」という言葉には大変ポジティブな意味合いがあり、当施設が身を置く美しい環境にとても良くマッチしていると感じています。この度のリニューアルは単なるリブランディングではなく、サステナビリティの実現に向けて当施設がこれまで辿ってきた長い道のりを物語るものであると私は思っています。当施設はサステナビリティに関する数々の目標を達成してきており、私たちはこのことを大変誇りに思っております。 

小さな一歩から始まる、大きな効果を持つイニシアチブ

まず当施設では、ゲスト用アメニティ、ゴミ袋、電球、清掃用品などの日用品を、可能な限りサステナブルな代替品に置き換えるという小さな取り組みから始めました。その際に私たちが採用した考え方は、何かしらを購入または取り換える必要がある場合は、環境にもっとも優しいものを選ぶようにするということです。現在、当施設ではこの考え方を、大小問わずあらゆるものの購入全般について取り入れております。 

この取り組みを起点に、私たちはサステナビリティのために当施設ができる他の取り組みにも目を向けました。はじめに、シャンプー、コンディショナー、ボディーソープなどのゲスト用アメニティについては、詰め替え可能な物を設置するようにしました。これは、当施設での使い捨てプラスチックの使用廃止に必要不可欠なことでした。小さなアメニティボトルを個別に提供することは、詰め替え可能なディスペンサーを使用することよりもはるかに高額であるため、この取り組みを行うことで経費の削減にも繋がりました。 

また、当施設では、刺激の強い化学物質の使用を減らすために、日々の清掃用洗剤を独自に作っています。作り方はとても簡単で、レクトリックソーダ(炭酸ナトリウム製の清掃用品)、お酢、食器用洗剤、そして香りづけにラベンダーを混ぜたものを使用しています。香りづけに使うものはお好みで構いません。酸性のお酢とレクトリックソーダとの組合せは、非常に効果的です。当施設のスタッフも、刺激の強い化学物質を仕事中に吸い込んだり触れたりすることがないため、自社製のこの洗剤の方が良いと言ってくれています。また、刺激の強い化学物質を減らしても、衛生管理を犠牲にすることには繋がりません。このことは、パンデミック以降のこのご時世においてはいっそう重要なことでしょう。当施設では、サステナブルなソリューションと徹底した清掃プロセスのバランスをとり、衛生管理の改善に努めています。 

また、私たちは電気自動車の充電スタンドを含む、数多くのより大規模なイニシアチブにも投資をしています。充電スタンドの設置には、適切なインフラ設備が整備されている必要があるため、なかなか簡単なことではなく、事業における必要性に応じて判断する必要があるでしょう。当施設にとっては、ロケーションを考慮したうえで意味がある取り組みであると判断しました。 

電気自動車の充電スタンドについては、当施設のサステナビリティへの全取り組みと同様に管理画面上で登録済みで、それにより当施設の予約確保にも繋がっています。つい先日、当施設に充電スタンドが設置されていることをご覧になったお客様よりご予約をいただき、滞在中にご利用されたいとのリクエストをいただきました。 

electric car charging station

 

エネルギーについては、当施設では2つのアプローチがあります。1つ目は、当施設の消費電力を可能な限り削減できるようにする対策を講じることです。例えば当施設では、お客様が夏場や冬場に即座に冷房や暖房のスイッチをONにする必要がないよう、二重窓を設置して室内温度が適正に保たれるようにしています。2つ目は、サステナブルな資源に由来するエネルギーの使用を徹底することです。当施設においては、ソーラーパネルが20キロワットの電力を発電しており、当施設で必要となる電力のほとんどをまかなっています。 

ソーラーパネルは当施設の収益にも直接影響しており、当施設では光熱費に対する経費削減が群を抜いて最も大きなものとなっています。今年においては、75%以上の電気料金を削減することができ、金額にすると数千ドルにも相当します。より日照時間の長い夏に至っては、電力会社に売ることができるほど電力を発電することができるため、冬の暖房費に充てることができます。ただし、現実的な話をさせていただくと、このような結果は直ちに起きたわけではありません。私たちの計算によると、当施設がソーラーパネルの初期投資額を回収するまでには、7年かかることが予想されています。

お客様に選択肢を

当施設がサステナビリティのために行った取り組みの優れたポイントは、お客様への悪影響が一切ないことです。全てのお客様にお気づきいただいたり、お言葉をいただくわけではありませんが、お気づきになったお客様は大変喜んでくださり、賞賛の声もかけてくださいます。 

お客様をサステナビリティへの取り組みに巻き込むために重要となるのは、お客様がサステナブルな選択をできるようなオプションを提供することです。例えば、お客様がご自身の選択でリサイクルできるよう、当施設の各アパートメントでは分別用に種類の異なるゴミ箱が設置されてます。こちらの選択肢については、通常ご自宅から離れてお泊りにきておられる法人のお客様に特に好評です。 

電気自動車でお越しのお客様からは、当施設のソーラー電源から充電できることについて大変なご好評をいただいております。このようなお客様は元々環境問題への意識が高い方々のため、同様の設備があることで共感を得ることができ、リピーターとして定着することもしばしばあります。寄せられたご意見・ご感想からは、当施設にお客様が再び足を運ばれる理由として、当施設がサステナビリティ認定を受けていることがそのひとつとして挙げられていることが分かっております。

専門家によるサポート

何が分からないのかすら分からない、という方もいらっしゃるかと思います。当施設では、取り組みを行うにあたり正しい情報に基づいた判断ができるよう、サプライヤーの方々から貴重なアドバイスをいただきました。例えば、地方自治体にグリーンエネルギーに関する監査の実行をサポートしていただくよう要請しました。提供された無料のレポートでは、消費電力の分析を含む当施設の事業のあらゆる側面が網羅されており、何を変えることで最も大きな影響が生まれるかなどが説明されていました。こちらの情報は、当施設が何から始めるべきか着目するのに大変役立ち、今後の計画の指針となりました。私から他の運営者の方々に伝えたい主なアドバイスは、全てを自力でやろうとしないようにしましょうということです。専門家からのサポートを仰ぎ、学びましょう。私が専門家の方に尋ねるお気に入りの質問は、「あなたならどうしますか?」です。

もしも、当施設のこれまでのサステナビリティへの投資に価値があったかと尋ねられたら、私は100%あったと答えるでしょう。サステナビリティに関する取り組みを行ったことは、間違いなく私たちのビジネスの改善に繋がりました。私たちと、共に働くスタッフの仕事に対する気持ちが改善されただけでなく、リピーターの数も増えました。私としては、私たちは皆、環境改善に向けた貢献をすべきだと考えており、私なりに変化をもたらすことができるひとつの方法がサステナブルな施設運営をすることなのです。

 

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サステナブル・トラベル

貴施設のサステナビリティへの取り組みを、弊社プラットフォーム上でユーザーにアピールする方法をチェックしましょう。 

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まとめ
  • 小さな一歩からでも、大きな結果に繋がる可能性があります。サステナビリティへの取り組みを始めたばかりの施設様であれば、まずはどの日用品をサステナブルな代替品に置き換えることができるのか検討してみましょう。 
  • サステナブルな選択肢を提供することで、環境問題への意識の高いゲストからの共感を得られることが期待でき、リピーターの獲得へと繋がる可能性があります。 
  • サステナビリティ関連の専門家からのサポートを仰ぐことで、サステナビリティに関する目標達成に向け、注力すべき分野やステップを特定することに役立ちます。
  • 貴施設で実施されているサステナビリティへの取り組みを管理画面で登録すると、特定のイニシアチブに注目しているユーザーへのアピールに繋がる可能性があります。