
マイアミで開催されたClick. 2023では、Booking.comのリーダーシップチームと旅行業界の専門家が、2022年に関する知見やアメリカ市場に対する2023年の見通しを共有しました。本記事ではいくつかの主要なポイントをご紹介します。
アメリカの国内観光の再燃
2022年はBooking Holdingsにとって史上最高の年となりました。弊社プラットフォーム全体でほぼ9億泊を提供し、これは2019年(弊社の以前の最高の年)と比べても6%増です。
アメリカ限定で見ると増加率は30%でした。これは、Booking Holdings内のその他のUSブランドの強みによるものでもありますが、ブランドマーケティングからプロダクトの開発に至るまで、Booking.comがこの地域で行ってきた投資による影響も大きいです。実際、弊社の調査によると、アメリカにおけるBooking.comの注目度は、2022年下半期に前年比で50%上昇しました。
これにビッグゲームやオスカー期間中の広告への最近の投資を組み合わせると、ブランドの認知度は来年さらに高まることとなるでしょう。
このブランド認知度の上昇が、新たなユーザー層と需要の高まりをもたらし、パートナー施設の皆様がこれまで以上に多くの人々に訴求することにつながります。またアメリカの州限定料金を提供すれば、この需要に切り込むことができるほか、スポンサーによる広告を最大限に活用し、稼働率に関するニーズを満たすことも期待できます。
インバウンド観光も回復傾向
AirDNAのチーフエコノミストであるJamie Lane氏は、短期貸出市場に関するデータに言及し、他の地域は、回復の観点から言うとアメリカに後れを取っていると指摘しました。同氏は、アメリカは2021年4月までに需要に関して「完全に回復」したものの、ヨーロッパを含む他の地域はその1年後まで追随せず、アジアやオセアニアなどの一部地域に至ってはまだ2019年以前のレベルに到達していないと述べています。
しかし、これらの地域での需要が回復するにつれて、アメリカの旅行先に対する需要のさらなる増加をもたらしているようです。
弊社独自のデータにより、この回復はすでに予約数に反映されていることも分かっています。特に第4四半期にはヨーロッパからアメリカへの旅行が大幅に増加し、ヨーロッパからアメリカへの旅行の予約数が前年比で2倍以上に増加しました。一部の国々(イギリスやドイツなど)では、アメリカへの予約数が150%以上増加しました。
現在、アメリカのインバウンド旅行者の上位6ヶ国は、イギリス、ドイツ、カナダ、フランス、ブラジル、メキシコとなっています。
インバウンド旅行者は、国内旅行者よりも滞在期間が長く、支出額も多くなる(弊社の調査によると、最大90%も多いことが分かっています)傾向があるため、この回復は、海外旅行の回復につれて好調な時代がやって来ることを示しています。国・地域別の料金を設定し、これらの優良な旅行者をより多く引き付けることで、この傾向を最大限に活用することができます。
また弊社のデータから、海外旅行のゲストは朝食込みの宿泊施設を好むことも分かっているため、朝食込みの料金プランを追加することで、シンプルかつコスト効率の高い方法によって、より多くの海外からのゲストを呼び込むことができる可能性が見込めます。また、Geniusプログラムの無料朝食オファーを活用して、貴施設のアピール力を強化し、より多くの関心を集めることもできます。
平均客室単価の上昇
平均客室単価は上昇しており、多くの場合において大幅な上昇が見受けられます。
CoStarグループのホスピタリティ・アナリティクス部門ナショナルディレクターであるJan D. Freitag氏は、さまざまな地域におけるホテルの平均客室単価(ADR)の上昇に関するデータを共有し、北アフリカの料金が2019年比で173%と、最も大きく上昇したと指摘しました。北米は118%で、ヨーロッパの122%とほぼ同じでした。
もちろん、この上昇の大部分はインフレとコストの上昇によって引き起こされていますが、先ほど述べたように、これらの料金上昇にもかかわらず需要は減少しませんでした。これは、需要の価格弾力性に関する大方の予想に反しており、インフレ圧力が緩和し始めると興味深い動向を生み出す可能性があります。
柔軟性は依然として重要
市場が「回復」しているとはいえ、パンデミック中に提供されることが多かった柔軟性は引き続き多くの旅行者にとって最優先事項となっています。
幸いにも、柔軟性の提供には、必ずしも貴施設自身が代価を支払う必要があるというわけではありません。実際弊社では、昨年のキャンセル率が2019年と比較して25%以上減少したことを確認しています。
また、人々の選択肢の探し方にも柔軟性が増しており、弊社のデータにより、今年第1四半期には泊数の45%強が弊社アプリ経由で予約されたことが分かっています。この需要を取り込むには、モバイル端末割引を設定するのが効果的です。
不透明なマクロ経済的状況ではあるものの、楽観視できる理由が存在
講演者の多くは、より広範なマクロ経済的および地政学的状況からの論点を強調しました。影響を及ぼす可能性のあるインフレ、景気後退のリスク、厳しい労働市場、銀行経営の破綻が存在します。
しかし、講演者間で一致していたポイントのひとつは、将来的にどうなるか正確に知ることは不可能であるものの、データは、アメリカの旅行&ホスピタリティ業界が着実性を保つのに有利な立場にいることを示唆しているように見えるということでした。
結局のところ、過去数年間が何かを示しているとすれば、それは私たちが回復力のある業界であるということです。
- 2022年に、Booking Holdingsのプラットフォーム全体の総泊数は、2019年と比較して6%増加しましたが、アメリカでは30%増加しました
- アメリカにおけるBooking.comの注目度は、2022年下半期に前年比で50%上昇しました。そして、最近の話題のキャンペーンのため、さらに高まる可能性があります
- インバウンド旅行が回復し、第4四半期には一部の国々からアメリカへの旅行が150%増加しました
- アメリカにおける平均客室単価は2019年レベルの約118%に上昇していますが、この追加収益の大部分は、コスト圧力とインフレ圧力によってもたらされています
- 柔軟性は依然として重要ですが、キャンセル率は25%以上減少しています